ヤマダ電機の決算動向

Yamada Denki

はじめに

2004年度に家電量販企業として初となる売上高(連結・単独ともに)1兆円を達成したヤマダ電機。2010年度には連結売上高で約2兆1,532億円を記録しましたが、アナログ停波や東日本大震災があった2011年度を機に、その成長は停滞気味で推移しています。店舗展開では家電量販店で唯一となる全都道府県に出店しています。現在は社会変化や市場環境の変化に対応するため、「量から質」への転換を図るとともに、住宅や住宅設備機器、金融・保険、各種生活サービスなど、事業分野を拡大。特に住宅関連分野を推進し、家電製品と非家電商材の家具やインテリア商材を合わせて取り扱う「家電住まいる館」を積極展開しています。

売上高、売上高伸長率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
2015年3月期は消費税増税による消費低迷の影響を受けて、売上高は前年比で2桁減とダウンしました。その後も店舗の大量閉店や閉店に伴うセール実施の反動減などがあり、2018年3月期の売上高伸長率前年プラスは4年ぶりとなっています。売上高構成比では第2の事業の柱と位置づける住宅設備関連が10%を占めるほど、事業として成長してきています。

売上総利益、売上総利益率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
売上総利益額は、4,500億円を中心に上下の幅で推移しています。売上高総利益率は2014年3月期から2017年3月期までの4年間で5.2ポイントも伸長し、これは上場家電量販店の中でダントツの伸びとなっています。しかし、2018年3月期は前年よりダウン。これは在庫の適正化を図るべく、仕入れを圧縮したことによる影響と考えられます。

営業利益、売上高営業利益率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
直近5年間の営業利益額と売上高営業利益率は、その期によってバラつきが見られます。大幅な減収を起因とする2015年3月期の営業利益額・売上高営業利益率の落ち込みが一転、2016年3月期では改善されました。これは、減収でも粗利益額が増加し、さらに販売管理費を抑制したことによるものです。しかし、2018年3月期では粗利益額の低下に対して、販売管理費が再び増加に転じたため、営業利益率は前年から1.2ポイントダウンとなっています。。

経常利益、売上高経常利益率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
基本的に経常利益額と売上高経常利益率の推移は、営業利益額と売上高営業利益率と同じ傾向になります。ヤマダ電機の直近5年間の推移でも利益額と利益率の動きは連動しています。しかし、2017年3月期は営業利益額が前年マイナスにも関わらず、経常利益額はプラスで推移しました。これは受取賃貸料の増加とともに、為替差損や賃貸料が減少したことによる営業外利益が前年よりも約36億円増加したことによるものです。2018年3月期は売上原価と販管費が前年よりも増加したため、経常利益は減益となりました。

純利益、純利益伸長率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
2015年3月期の純利益は、前年から大きく減益となり、伸長率では50.0%と利益額が半減。しかし、2016年3月期では前年の約3.4倍もの増益となり、2017年3月期も伸長しました。純利益の算出に影響を与える特別損益を見ると、特別利益、特別損失ともに計上額は年々減少しており、特にイレギュラーとして突出した額の計上は見られません。そのため、純利益は経常利益と同様の推移となっています。

販管費、売上高販管費率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
ヤマダ電機は全国の都道府県に出店しており、店舗数は家電量販企業の中でも圧倒的に多く、連結売上高2位のビックカメラより約1万人多い従業員を抱えています。それだけ販管費も他社より大きく、売上高や利益とのバランスを取りながらコントロールする必要があります。直近の5年間では、2018年3月期に若干増加しましたが、基本的には販管費を抑制する方針で推移していることが分かります。

広告宣伝費、売上高広告宣伝費率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
全国出店や住宅関連事業の推進などで、ヤマダ電機がチラシやテレビCM等の広告宣伝費として計上している費用は、他社と比べて数十~100億円以上多くなっています。しかし、マスを対象とした広告宣伝自体の集客効果が低下している現状に合わせて、広告宣伝費を圧縮しています。また、投下費用自体は他社よりも大きいのですが、売上高に対する広告宣伝費として見ると、直近5年間での平均は約1.8%。この比率は他社よりも非常に低く、売上高との関連で見ると、効率の良い広告宣伝投資を行っているといえます。

給与及び手当、売上高給与及び手当率

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
ヤマダ電機の給与手当は、2017年3月期と2018年3月期がほぼ同額ですが、傾向としては縮小しています。他社が増加トレンドを示しており、全体傾向とは対照的といえます。直近5年間の売上高給与手当率の平均は約6.6%で、これはエディオンに次ぐ高い数値です。ただし、これは連結業績での比率で、ヤマダ電機単独での売上高給与手当率は約5.3%。連結とは1.0ポイント以上の差異が生じています。

従業員数 (従業員数・平均臨時雇用者数)

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
一般的に新規出店では店舗の従業員やパート・アルバイトを新規採用することが多く、新規出店数と連動して従業員数や臨時雇用者が増加します。ヤマダ電機ではここ数年間、新規出店よりも既存店舗を「家電住まいる館」としてリニューアルオープンする展開に取り組んでおり、従業員数や臨時雇用者数は縮小傾向で推移しています。全従事者に対する平均臨時雇用者数の比率は、5年間平均で約34.0%。これは他社よりも低く、また、この比率は徐々に下がってきています。

従業員1人当たり売上高

店舗数

※ヤマダ電機及び連結子会社の直営店舗

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
かつて、ヤマダ電機は全国で意欲的に出店を進めていました。しかし、その出店が同一商圏での自社競合を招くとともに、消費税増税後の消費低迷という社会要因もあり、2016年3月期に全国で60店規模の店舗閉鎖を行いました。現在は新規出店よりも家電と住宅関連の家電住まいる館へのリニューアルオープンを進めながら、徐々に店舗数を増やしています。以前は大型単独店舗を志向していましたが、大型商業施設のインショップ店や小商圏に対応した小型店舗など、店舗のバリエーションも増え、商圏特性や地域特性に合わせた出店戦略を行っています。

1店舗当たり売上高 (売上高÷ヤマダ電機と連結子会社の直営店舗)

設備投資額

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
ヤマダ電機の設備投資額は減少基調で推移し、直近の5年間で投資額は1/4に減少しています。この要因としては新規出店数の減少が挙げられます。新規出店を抑制することにより、土地の取得や店舗の構築、備品や機器の購入、契約時の保証金などの支出が抑えられます。売上高に対する設備投資額の比率は2014年3月期で2.3%でしたが、2018年3月期では0.7%まで低下しています。新規出店による売上貢献が以前よりも低下している現状に対応した設備投資を行っているといえるでしょう。

より詳しいデータをご希望される場合はお問い合わせください

株式会社クロスには家電業界に精通したコンサルタントが多数所属しています。また、家電業界向けのセミナーを定期的に開催し、家電業界の専門誌「家電Biz」も発行しています。家電業界に関するコンサルティングやデータ提供等も行っておりますので、ご不明な点やご要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。