ビックカメラの決算動向

Bic Camera

はじめに

全国で都市型大型店舗を展開するビックカメラは、2006年にソフマップ、2012年にコジマを子会社化し、対象ターゲットや地域に合わせた店舗展開を図っています。ビックカメラの店舗においては非家電商材の取り扱いも多く、専門店の集合体として集客に活用しています。この非家電では、他の家電量販企業が近年になって取り組みを開始したのと比べて、非常に早い時期から取り組んでおり、生毛工房は1992年設立で、ビック酒販も2001年に設立しています。最近では立地や客層に合わせて空港内ショップのAir BIC、小型店舗のセレクト、単独酒類販売店のリカーなども出店。ECにも力を入れ、自社サイトの他に楽天と共同で設立した楽天ビックもあり、連結売上高でのEC化率は10%を超えています。

売上高、売上高伸長率

 

 

ico 解説員
元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
消費税増税の影響により、2015年8月期は前年比95.8%とダウン。2016年8月期も既存店の売上高が伸びず、2期連続で減収となりました。2017年8月期になるとコジマの新規出店や“コジマ×ビックカメラ”へのリニューアル、オムニチャネル化推進でのECの売上拡大などで増収に転じ、2018年8月期もEC売上高の2桁増やインバウンド売上が好調に推移し、売上高伸長率は前年6.8%増と高い伸びを見せました。特にECは中期経営計画の目標でもある売上高1,000億円が射程距離に入るところまで高まってきています。

売上総利益、売上高総利益率

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
売上高総利益率は増加傾向で推移しています。減収減益となった15年8月期では売上高総利益額こそ減益となりましたが、率では前年プラス。16年8月期も減収でしたが、売上総利益額は増益となり、率でも前年プラスとなっています。直近5年間で見ると、非家電商材の売上高構成比が16.9%から19.7%に拡大しており、この分野の拡大が売上高総利益率の向上に貢献したといえるでしょう。また、PB商品の売上高も14年8月期から18年8月期で約4.9倍に拡大。連結売上高に占めるPB商品の構成比も拡大基調にあり、このPB商品の積極販売も売上総利益を押し上げている要因の一つといえます。

営業利益、売上高営業利益率

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
直近5年間の営業利益額は減益と増益が交互に繰り返されています。しかし、2014年と2018年の営業利益額の伸長率でビックカメラは、約142.0%と上場家電量販企業の中ではノジマに次ぐ高い数値です。特に17年8月から18年8月期の伸長率は123.8%と、上場家電量販企業の中で最も高い伸びを示しています。これはコジマの既存店売上高が伸長したことと、売上高総利益率の改善によって連結対象企業がいずれも営業利益ベースで増益となったことによるものです。

経常利益、売上高経常利益率

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
経常利益額と売上高経常利益率は2015年8月期に、前年よりダウンしましたが、2016年以降は増加基調で推移しています。売上高経常利益率は2018年8月期で3.5%と、ケーズHDやノジマよりも低い数値となっています。直近5年間の平均売上高経常利益率も3.0%で、上場家電量販企業の上位6社中で中央値のポジションにあります。しかし、2018年8月期の経常利益額は前年から約48億7,700万円の増加で、経常利益額の前年比伸長率120%と合わせて、増加額・伸長率とも上場家電量販企業の中で最も高い数値をマークしています。これは2018年8月期における営業利益額の大幅な伸長が、経常利益額の伸長にも貢献したためです。

純利益、純利益伸長率

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
直近5年間の純利益の推移は、経常利益額の推移と同様の傾向を示しています。2015年8月期に前年からダウンし、その後は増加基調で推移するというものです。16年8月期以降は経常利益額の前年伸長率より純利益額の伸長率が高く、これは他社には見られない特徴です。特別損益についてはこの4年間、10億円台の損失で推移しており、他社に見られる大きな変動はありません。

販管費、売上高販管費率

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
販売管理費は2016年8月期まで減少し、そこから増加しています。2017年8月期の販売管理費は前年比104.4%で、2018年8月期は同106.1%。他社と比べると高い伸長率となっています。とはいえ、連結売上高に占める販売管理費の割合は2018年8月期で24.8%と、ヤマダ電機やエディオンよりも低い数値です。販売管理費の内訳を見ると、一般的には給与手当が25~30%程度を占めますが、ビックカメラは約14~15%と他社よりも低い構成比です。また、販売管理費に占める地代家賃の割合は16%台で推移しており、ケーズHDと近い数値となっています。展開店舗数では2倍以上の差があるケーズHDと近い理由としては、ビックカメラの店舗の9割以上が賃貸物件によるものだからです。

給与及び手当、売上高給与及び手当率

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
ビックカメラの給与手当は、減少基調で推移してきましたが、2018年8月期は増加に転じています。しかし、同期の連結売上高が前年比106.8%の増収となったため、相対的に連結売上高に占める給与手当率は2017年8月期の3.7%から3.5%にダウン。この売上高給与手当率の3%台という割合は、他社と比べると非常に低い数値です。連結での臨時雇用者を含む従業員数がビックカメラよりも少ないエディオンの2018年3月の売上高給与手当率は8.2%と、大きな差異が見られます。単独決算での従業員の状況を見ると、ビックカメラは他社よりも平均年齢が若く、勤続年数が短いという特徴があります。また、連結においては臨時雇用者数の比率が増加しており、これらが他社との差異につながっていると考えられます。

従業員数 (従業員数・平均臨時雇用者数)

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
連結での従業員数は2016年8月期まで減少基調で推移していましたが、直近の2期は増加に転じています。平均臨時雇用者は増加傾向にあり、やはり直近の2期で大幅な増員となっています。従業員数の増加は新規出店とも連動しており、特にビックカメラはターミナル立地に大型店舗を出店するため、新規採用もその規模に合わせて増加します。特に伸長しているのが平均臨時雇用者数。直近の2期は、いずれも前年比で2桁増となっており、他社と比較すると、パート、アルバイトの採用が著しく増えています。従業員全体に占める平均臨時雇用者の割合は2014年8月期が40.1%で、これは上場家電量販企業の中でヤマダ電機に次ぐ低い割合でした。2018年8月期には47.4%になり、7.3ポイント増となっています。ヤマダ電機はこの間で臨時雇用者の比率が減少し、増加したエディオンでも1.1ポイント増にとどまっています。この臨時雇用者の積極的な採用は、他社と大きく異なる点といえるでしょう。

従業員1人当たり売上高

 

 

店舗数

 

 

※ビックカメラ、コジマ、ソフマップの店舗数

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
店舗展開では、ターミナル立地に多層階で出店するビックカメラとロードサイドの郊外型展開を行っているコジマ、PCを中心とするソフマップが、それぞれ出店しています。かつてコジマは全国展開を図っていましたが、ビックカメラの子会社となってからは不採算店の閉店やビックカメラとのシナジーを活かした「コジマ×ビックカメラ」へのリニューアルを進めています。ビックカメラも玩具や酒類販売の単独店舗を展開するようになり、ソフマップもビックカメラの店舗内店舗として出店するなど、以前とは出店形態が変化してきました。これらの店舗展開の見直しにより、2017年8月期までは店舗数が減少していましたが、2018年8月期は純増に転じています。

1店舗当たり売上高

 

 

設備投資額

 

 

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元「IT&家電ビジネス」編集長 / 現「家電Biz」編集長 風間 理男
設備投資額は新規出店と連動することが多く、2016年8月期までは減少基調にありましたが、2017年8月期の設備投資額は前年の1.8倍に増加しています。同期ではビックカメラ広島駅前店と名古屋JRゲートタワー店の2つの大型旗艦店を出店したことで、保証金や設備などの投資額が増加したためです。これにより連結売上高に占める設備投資額の割合は1.9%と前年より0.9ポイントほど増えました。2018年8月期の設備投資額は前年比84%と減少し、連結売上高に占める設備投資額は1.5%となりました。同期の設備投資額131億円は上場家電量販企業の中でケーズHDに次ぐ投資額ですが、連結売上高がケーズHDよりも大きいため、ケーズHDの2.3%よりも0.8ポイントほど低い数値となっています。

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株式会社クロスには家電業界に精通したコンサルタントが多数所属しています。また、家電業界向けのセミナーを定期的に開催し、家電業界の専門誌「家電Biz」も発行しています。家電業界に関するコンサルティングやデータ提供等も行っておりますので、ご不明な点やご要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。